イビキの原因〜軟口蓋過長症〜

 

 お久しぶりです。獣医師の谷山です!

 今回は最近よく遭遇する、イビキや興奮時のブーブー(呼吸音)が見られるわんちゃんに関してお話しさせていただきます。

 原因の一つに「軟口蓋過長」が挙げられます。

 

 頭蓋骨幅と比べてマズルの短い犬種の子達([フレンチ]ブルドッグ/パグ/チワワ…etc)で多く見られますが、他犬種の子でしばしば見られることもあります。

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 呼吸のし辛さはもちろんですが、嚥下中の気道閉塞に伴う嚥下困難が起き、吐き気やむかつき、誤嚥などがみられることもあります。

 さらに気管に負荷がかかり、気管虚脱がみられることもあります。
症状が悪化した場合、チアノーゼや呼吸困難・失神など命に関わるケースも出てくるため注意が必要です。

 ほとんどの場合が先天的な問題であるため、

避妊/去勢手術の際に同時に軟口蓋を切除することが多いです。

 当院では先日新しい手術器具「ソニックビート」を導入しました。

 超音波凝固切開装置と呼ばれる超音波で血管や組織を止血しながら切断できる装置です。異物反応を起こす可能性のある縫合糸の使用を最小限にできることや出血量を大幅に減らすことができるため、軟口蓋の切除にはピッタリです。

 実際の症例です。非常に分厚く長い軟口蓋(糸をかけている組織)が確認されます。

 少し僕の指がかかり見えにくいですが、非常に綺麗な切断面で軟口蓋がカットされています。

 今回はイビキの原因の1つである軟口蓋過長症について記載させていただきました。しかし、あくまでも一例でありイビキや呼吸時のブーブー音の鑑別疾患には他にも多数挙げられます。

 呼吸器系のトラブルが潜んでいることが多いため、呼吸音が気になる方は早めのご来院をお願い致します。

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