私は今、日野町の古民家をリノベーションして暮らしています。リノベーションと言っても様々な方法がありますが、うちの場合は“如何にこの家を建てた人の想いを汲み取り、そのマインドを残すか”という事を重視して行ったため、古民家の構造がほぼそのまま残っています。そして今の家で暮らし始めて早2年が経ちました。そこで暮らしていると
古民家の素晴らしさと厳しさ
が身にしみてわかります。
今日は、古民家を今時の住宅との違いをもとに、昔の暮らしと今の暮らしの違いを再考したいと思います。
自然の中に溶け込む古民家
みなさん、古民家と聞くとどのような家を想像されるでしょうか?
- 茅葺き屋根
- 囲炉裏
- 縁側
- おくどさん
- 土間
- 五右衛門風呂
- 井戸
昔話に出てくるような古民家はもうなかなか存在しませんし、場所により異なる部分もあるので様々な形態がありますよね。
うちには縁側、おくどさん、土間、五右衛門風呂、井戸(枯れてしまっている)があります。そして今時ではありますが、薪ストーブがあります。
その古民家がどんな形であれ、共通して言えることは
屋内と屋外の境界線が曖昧であるということ
これが古民家の良さでもあり、厳しさでもあります。屋内にいながら屋外を感じるとはどういうことでしょう?
多くの方がイメージする新築住宅から逆算して考えてみましょう。
外部を遮断する住宅
今の新築住宅は(私が勝手に想像するに)
- オール電化
- 外張り断熱
- 防音性能
- 全館空調
などなど、以下に屋内の快適性を達成するかを考え、屋外に影響されず、プライバシーが保たれることを重視している家が多いですよね。
確かに年中同じような状況で、快適で騒音などにも悩まされないでしょう。しかし外の春雨も鳥のさえずりもカエルの合唱も、風の音もわかりません。室温の変化もほとんどなく夏の厳しい日差しや雪の日の切り裂くような冷たい空気もそこまで影響は受けません。
逆に古民家だと、外部の状況がよくわかります。夏には風が通せる作りになっているし、冬には日差しが取り込める作りになっています。
また動物や虫の鳴き声で季節感もあり、四季の移ろいがよくわかるのです。そんな事を楽しみ、感じるゆとりが無いこともあるかもしれませんが、日常に幸せを感じられるということはとても健康的です。
しかしそれと同時に厳しさも感じます。寒さは室温が4℃ぐらいになりますし、風呂場も寒いです。虫も多いし、作物をサルに持って行かれたり獣害もあります。
自然の中で暮らすことは同時に環境との戦いでもあります。しかしそれらを拒絶していい環境を作ることが全てではなく、それを活かして調和していく暮らし方もあります。これは好き嫌いだと思うのですが、私はそんな日々の中で季節を感じ楽しむことがいい気分転換になります。寒すぎて嫌になる日もありますけどね。
都会でもこんな家づくりをしている人もいます。お時間ある方は一度観てみて下さい。
https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/ondemand/video/2046106/