拾われ子猫の闘病録

こんばんは。本日、2月22日は「猫の日」ですね。

今回は猫になったつもりで小話を書いてみましたのでどうぞお楽しみください。(by 藤原)

我輩は子猫である。

名前はまだない。

 

悪いばい菌にかかってしまったようで、目と鼻がきかない。

親兄弟ともはぐれ、道端で途方にくれていたところを、ここの病院の院長の娘さんに拾われた。

 

暖かい部屋と缶詰の飯をもらった。

目の前に置かれた飯すら見つけられないくらい、我輩の目と鼻はやられていた。

 

どうやら、我輩は”猫風邪”というものにかかっているらしい。

このままでは風邪に負けて精魂尽きてしまうと、インターフェロンと抗生剤の注射を打たれ、目には軟膏を入れられた。

ネブライザーなどという霧で満たされた部屋にも毎日入れられた。

呼吸器にダイレクトに薬を届けられるので効果的だという。

猫風邪を起こすばい菌はたくさんある。

ウィルスと細菌の混合感染が多いが、かかっているばい菌によっては薬の種類を変えねばならない。

一般的な治療と並行して、何がかかっているかを調べる微生物遺伝子検査も行われた。

 


 

どうやら、我輩の目を土偶のように腫らせていたのは、

「ヘルペスウイルス」と「カリシウイルス」というばい菌だったようだ。

このヘルペスとやらは厄介だそうだ。
ウィルスなので普通の抗生剤などでは効かない。
すぐさま抗ヘルペスウイルス薬に飲み薬が変えられた。

 

非常に不味くて耐え難い薬だが、だんだんと目が見えるようになった。

 

我輩のように、治りにくい風邪にかかってる猫は、一度微生物の遺伝子検査を受けてみるといいだろう。

 

ヘルペスウイルスは神経節に住み着くらしい。

我輩は終生これを抱えて生きてゆかねばならないが、今は目も鼻も生活に支障ない程度になった。

ここに至るまでに3週間はかかった。

長かった。

しかしもう自分で飯のありかを見つけることも、新聞紙を散らかしてやることもできる。

 

 

こうして、我輩はICUを卒業した。

我輩は子猫である。

名前は、たくさんある。

我輩の世話をし、名を与えてくれた者たちに、感謝している。

現在推定4か月。
飼い主が困るくらい元気いっぱいです!

 

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