こにし動物クリニック 獣医師の谷山です。
当院ではてんかん様発作の重積時にご自宅で使っていただくために
坐薬製剤を用いていましたが、新規治療法を導入しました。
こちらです。
形状からある程度推測できますが、薬剤の鼻腔内噴射です。
※てんかん重積
てんかん重積とは、てんかん様発作を起こして正常な意識レベルへと
回復する前に再びけいれん発作を起こす状況が20-30分以上続いている状況を指します。
色々な説がありますが、てんかん様発作が
15分以上続くと脳に大きなダメージが、
30分以上続くと取り返しのつかないダメージが脳に出る。
と言われています。
ですので、重積状態は一秒でも早く止めてあげないと危険ということです。
お家でエマージェンシーの処置をしていただくのは飼い主様になりますので、
投与が簡単でかつ効果発現までの時間が早い薬剤と器具を導入しました。
今までの坐薬ではどうしても、
直腸粘膜で溶け、吸収されて、
血中濃度が治療域へ到達するまでの時間が少しかかるという難点がありました。
中には治療域へと達しない子もいるようです。
この鼻腔内噴射器では、
細かい薬液ミストを作り出し、鼻腔粘膜広範囲に噴霧可能です。
実際に直腸内投与と比較して、
発作終息までの時間/発作再燃までの時間共に有意に延長したと
報告されています。
重積状態治療オプションの一つとしてご提案させていただきます。
宜しくお願い致します。