こんにちは!
滋賀県栗東市(草津市・野洲市・守山市・湖南市・甲賀市周辺)のペットと家族の幸せな暮らしを応援するこにし動物クリニック 看護師の安達です(^^)
ペピィ株式会社が主催する看護師セミナーに行ってまいりました。
今回は麻酔編です。
麻酔とは薬物により引き起こされる知覚喪失のことを言い表します。
麻酔は100%安全というものではありません。
必ずしもどの手術でもリスクがある事はご理解を頂かなければなりません。
クラス1~5までのステージがあり患者さまの状態、手術内容などを分類しリスクを表します。
これを踏まえて、全身麻酔の流れは
① 患者様の情報の把握(年齢、症状、血液検査等)→②予測される麻酔時の問題点の把握(リスク)
→③麻酔前投与・導入・維持→④麻酔からの離脱
① ②の把握及び問題点の予測としても術前の検査により潜在的にもつリスクを見抜く必要があります。
麻酔前投与から生体モニターをしていきます。
安全な全身麻酔を行なうためのさまざまなモニタリングを要しますが、五感を用いたモニタリングの重要性。
低血圧や低酸素等の問題が引き起こされやすい麻酔導入直後はSpO2(動脈血酸素分圧)装着と同時に股動脈圧を触知、不整脈や血圧を評価します。
【体温モニタリング】
麻酔導入後は放出(大気中へ体内の熱が伝達)や対流(空気の流れで皮膚温度が低下)により体温が低下してしまいます。体温が低下することにより酸素消費量の増加により皮膚が緊張状態になり疼痛、免疫、血液凝固(血を止める)機能が低下、麻酔の覚醒が延長などの要因が表れることがあります。
導入直後の体温低下抑制が重要であるため体温低下を阻止、維持するために
保温マット、湯たんぽ、ドライヤー、毛布、輸液加温などの手段を用いる(またスケーリングは水を使うため体温低下が激しいので体の上にタオルを1枚かぶせるだけでも体温は維持されます)。
【換気(カプノグラム)モニタリング】
換気とは血液がCO2を肺胞に放出し、それが呼吸によって体の外に出されることを表します。
麻酔時の正常値は患者の大きさによって変わります。
換気のモニタリングにはカプノグラムを用いります。正常波形を基本とし、波形が変われば何が要因なのかを判断します。
【血圧モニタリング】
現在の麻酔は血圧維持が主目的になっています(血液循環の確保が最優先のため)。
特に低血圧に対する対応が循環の要といわれています。低血圧による頻脈は血管拡張や脳・心臓・腎臓などへの十分な血液が送られない、細胞含めて酸素が足りなくなるので低酸素が生じます。
【酸素化のモニタリング】
SPO2は動脈血酸素分圧を反映、動脈血酸素化をリアルタイムで確認します。
基本は95~100%。
【心電図モニタリング】
心電図とは心臓の活動を電流や電圧の変化の形でとらえ心臓に異常がないか確認することです。
心電図には、電気メスのようなノイズにも波形に異常をきたします。何が原因で波形が変わっているのかを判断しなければいけません。
麻酔は100%安全というものではありません。常にさまざまなことに意識を飛ばし、しっかりとモニタリングを行い緊急事態には要因を判断し指示に従い対処を行わなければいけません。
飼い主様、麻酔前には大切な家族の術前検査をしっかり行い最低限の麻酔リスクを回避してあげましょう。
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